しゅどんどんずんどこブログ

書いちゃうよ~!

いきなりステーキに行った。

兼ねてから行きたかった、いきなりステーキにいった。

 

なぜいきなりステーキに行きたいのか?

答えは簡単、オトコの子だから。

 

ポテト、から揚げ、ハンバーグが好きという短パンが似合いそうな趣味嗜好を持つ僕は、例によってステーキを最高のごちそうだと思っている。

 

社会人ぺーぺーであり、薄給による貧困状態がベーシックな僕にとって、牛肉を食べられるチャンスは月に1度、あるかないかなのだ。なんなら無い月もある。

 

普段の食生活は、うどん、うどん、やきそば、うどんだ。

具はネギだけ。ネギを食べればすべての栄養を補える。

 

その日は給料日。

なけなしの5千円札を握りしめて僕は職場近くのいきなりステーキへ走った。

 

 

その日のいきなりステーキは、珍しく人も空いているようだ。

店員に席へ案内され、説明を受ける。

 

だが、そんな説明など頭に入ってこない。

店に充満する牛肉の焼ける匂いに眩暈が出そうなほど、魅了されている。

ああ、牛さん、ありがとう。いきなり食べられる君は、どんな驚きを私に見せてくれるのかな。

 

かろうじて分かったことは、自ら牛肉をカットする店員さんへ、「何グラムく~ださい」と申しつけるシステムであること。

 

いいな、牛肉をカットする仕事。

自分にとっては大変珍しい牛肉を嫌になるほどカットできるのか。

ステキだな。

 

リブロースステーキを300g頼むことに決めた。

小食の自分にとって、300gの脂肪とタンパク質の塊を注文するなど、かなりの冒険だ。

 

牛肉カットおじさんに「300gく~ださい」と伝える。

牛肉カットおじさんは無機質な目で牛肉をカットし始める。

 

「ちょっとg数超えちゃうけど、どうでしょう?」

 

ああ、そっか。その場でカットするから端数がでるのか。

 

330gになるらしい。

値段もちょっぴり上がるし、食べきれるかいよいよ不安だが、ここで300ぴったりにしてくれとも言い難いので、了承した。

 

牛肉カットおじさんは、牛肉焼き焼きおじさんへ肉を渡した。

 

僕の牛肉が、いままさにステーキへと進化する瞬間だ。

 

肉が焼ける間は席で前のお客さんの食べ様を見る。

 

みたところ、年上の女性のようだが、一人でモリモリと牛肉をかっくらう様は自分よりずっとカッコいい。

なんだかちょっとあこがれちゃうな。

 

前の女性を凝視する。

彼女がステーキへナイフを入れるたび、ギコギコと僕のテーブルも揺れる。

 

一心不乱なのだ。

 

彼女はいま、一生懸命ステーキを食べている。

こんなにステキな女性を身近で見ることが出来るなんて、僥倖だな…。

 

凝視していると、とうとう僕のステーキが来た。

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すっげ。

 

座布団じゃないか。

世界一しあわせな、座布団だ。

見た目の仰々しさ、インパクトとは裏腹に、愛情が、優しさが、肉汁と共にステーキから溢れ出ているように見える。

 

当たり前のことだが、うどんとは、似ても似つかない。

 

涙で前が見えない。店の中で漂っていた何倍の濃度の肉のにおいが、鼻の穴めがけて押し寄せてくる。

 

やだ…。初対面なのに、そんな大胆に鼻の中へ…。

 

ぼくは「やる気マンマンなのに、体面上ベッドインをいったん断るクソ女」と化した。

 

ダメよぉんと思いながらも、肉汁の弾ける様子から目が離せない。

サイコーイカれちゃってんだ、ステーキくんのBODYに…。

 

大きめにステーキをカットする。

前の女性がテーブルを揺らすのも致し方がない。

こんな魅力的な食べ物をだされたら一刻も早く齧り付かなくては、牛さんに失礼ともいえる。

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刃牙みたいに食べよう…。」

そう、決めていたのだ。

いま、実行。

 

 

ガプ。

モニュ。

 

んっっっっまぁ~~~~~~~~~~~~~~~。

 

あ~生きててよかった。まじめに働いてよかった。すべてが報われた。

牛ってすごい。

歯ごたえがある。うどんじゃない。すごい。

 

小食の僕が、どうあがいても食べられない脂身(大体30gくらいあった。カットしてもらえばよかったね。)以外をペロリと食べてしまった、

 

そう、それが牛パワー。

牛パワー。

牛ってすごい。酪農家の皆さんありがとうございます。

 

カットおじさんも肉焼き焼きおじさんもありがとう。

ぼくはいま、生きとし生けるすべてのおじさんを愛している。

 

 

そこから先の記憶はあまりない。

気づいたら

握りしめていた5000円札が1000円札2枚へ変わっていて、ベッドの上でさきほどのステーキの画像をにやつきながら見ていた。

 

いつか、大金持ちになったら、家に専用の牛肉カットおじさんを置いてまいにちステーキを食べよう。

 

そう心に誓ったのであった。

悪魔憑きのおばあちゃん

今日は会社で外回りをしていた。

 

パチンコ屋近くの駐車場に車を停めると、道路の端に小柄のおばあちゃんが座っていた。

 

シミのある、オレンジ色のTシャツを着た、お世辞にも上品とは言えなさそうなおばあちゃんだ。

 

目を合わせないように通り過ぎようとすると案の定

「コンニチワァァァ!!!」

と絶叫してきた。

 

最悪だ。

早足に切り替える。

 

「お仕事頑張ってて偉いネェ!?アハァハアハアハハァ!!!」

 

もうだめだ怖すぎる。

 

なんとかその場を後にしたが

商談も上手くはいかなかった。

 

おばあちゃんの恐ろしい笑い声が、耳から離れない。

なんでこんな目に合わなくてはならないんだ。

 

一生懸命仕事をしているのに、こんな、ひどすぎる。

 

おばあちゃんには悪魔が憑いているに違いない。

じゃなければあんな笑い方は普通できない。

 

悔しい。

こんな惨めな思いで営業なんてできない。

 

僕がエクソシストだったら真っ先に聖水をぶっかけて十字架で滅多打ちにしてやる。

その後に数珠で首を絞めながら、ありとあらゆるお経を披露してやるのだ。

 

こうしちゃいられない。

 

コンビニでクリスタルガイザーを買った僕は悪魔憑きのおばあちゃんの元へ向かう。

 

クリスタルガイザーほど名前のかっこいい水であればなんらかの聖属性が付加されているはずだろう。

 

火傷くらいはさせられるはずだ。

 

 

しかし、おばあちゃんはすでにその場から消えていた。

本物のエクソシストが、追放を受けて裁きを下したのだろう。

 

ふとおばあちゃんの、くたびれたオレンジ色のTシャツを思い出し、寂しい気持ちになった。

 

初めて出会った悪魔憑きのおばあちゃん

絶対に忘れないからね……。

 

お色気だけじゃない!ちょっぴりエッチなレストラン「Hooters」に絶対行くべき3つの理由

こんにちは、しゅどんどんです。

 

みなさんは「Hooters」をご存知だろうか。

露出度の高いホットパンツとタンクトップの女性がウェイトレスをしている、アメリカから上陸したお色気レストランである。

 

 

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画像がHooters Girlと呼ばれる女性たちだ。

セクシー以外の何物でもない。セクシーの権化。彼女らが食べ物を運んできてくれるだけでモゾモゾしてしまう。

 

今回、私がず~~~~~~~~~~~~~~~~っと行きたかったこのHootersへ友達と一緒に行ってみました。

 

結論から言って最高だったので皆さんにお勧めしようと思った次第です。

 

Hootersのここが最高①料理がうますぎ

はっきり言って食べ物には一切期待はしていなかった。

だって、えっちな恰好をした女性がウエイトレスするってだけでもうほかには何も必要なはずないのだから。

 

柿ピーが1000円とか言われてもまあ、まあ、まあ、まあ、気にしないだろう。

 

しかし、さすがはアメリカで多くの店舗を有するHooters。

想像をはるかに凌駕してくれた。

 

 

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画像は最初に頼んだ「ビッグ・ディッパー・チリチーズフライ(¥950)」

まず見た目から、脳髄に直接訴えかけるようなパワーを感じないだろうか。

USAを存分に感じられる強烈な見た目だ。

 

そして頬張った時、実際に脳髄に衝撃を受けた。黒船以来の衝撃だ。

その名の通り大きくてパリパリホクホクに揚げられたポテト、とろけるチーズにピリッと刺激を与えてくれるチリソース。

 

すべての要素が正解・正解・正解の連続。出会うべくしてであった者たち、正義のトライアングルだ。

 

これと生ビールを一緒に掻っ込むだけでほとんどすべての快楽を得られた。

 

 

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「チキン・ウィング6ピース(衣揚げ)¥950」は大ぶりな鶏の手羽元と手羽先が大変食べごたえがあった。12種のソースから味付けを選べる点も非常に魅力的。

 

 

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バッファロー・シュリンプ12ピース(¥1280)」もサクサクぷりっぷりでいくらでも食べられる。こちらも12種類のソースから味付けを選ぶことが出来る。

 

最高すぎる。料理のクオリティが高い…。

値段に見合ったボリュームと味。何人かでシェアすることをオススメする。

これらを口にした時点でHootersのファンとなってしまうことは仕方のない運命なのだ。

 

豊富なメニューは値段も含めてすべてHPで確認することが出来ます。

フード&ドリンクメニュー | 赤坂・銀座・渋谷・新宿・名古屋・大阪でアメリカンパーティー!カジュアルアメリカンダイニング&スポーツバー「HOOTERS」

 

輸入ビールの種類も豊富!

何度来店しても楽しめるぞ…。

 

Hootersのここが最高②HootersGirlの接客が良すぎる。

やはりHootersといえばHootersGirl。

その魅力的なBodyで私たちの目を存分に楽しませてくれる。

 

しかし、それだけではなかった。

 

先ほどのバッファロー・ウィングを頼む際にお勧めのソースを聞いたところ

 

「わたしはこの味付きが好きなんですけど~。辛すぎるかもしれないので、BBQ風味でピリ辛なこちらが最初はお勧めかもしれません…。」

 

なんと的確な説明か。

ちゃんと教育がなされていることがはっきりと分かった。

 

セクシーな衣装を身にまとった彼女らの「お客様を楽しませたい」というプロ意識が感じられる。

 

さらに、バッファローウィングにかじりついている時に

突如、別のHootersGirlが笑顔でやってきて

「手が汚れちゃいますので、お手拭きを置いておきますね~。」

とお手拭きを取りやすいように破りながらおいていってくれた。

 

ああ…気遣い!

 

女性に優しくされたことは初めてだったので、一瞬で惚れた。

涙をこらえることに必死だった。

 

こんな優しい気遣いを、みんなお互いに出来たら、戦争なんてなくなるのに…。

 

Hootersのここが最高③めちゃくちゃかわいい

もう皆まで言わないので下の画像を見てほしい。

 

 

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めっちゃキレイ。

 

私の困り顔をご覧いただいてわかるように、めちゃくちゃニヤニヤを抑え込んでます。

 

この時、ほっぺの内側から血が出る程に噛み締めていました。

気がゆるんだら大爆笑しちゃいそうでした。

 

だって、こんな、良すぎる。

 

写真も撮ってもらえるなんて、ほんとにいいの?

もう最高すぎる。

 

週1で行こう。

 

 

まとめ

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おいしい食事と美しい女性たちの素晴らしい接客が楽しめるレストラン「Hooters」

 

今回行った新宿店は画像のようにかなり開放的で明るい店内だった。

 

正直行く前は、かなり後ろめたい気持ちもあったが、女性と一緒に訪れる男性客。

外国人の老夫婦もいらっしゃっていた。

 

ここは、そういう「楽しむ場所」なのだ。

決してエッチで怪しいお店ではない。

 

ぜひ皆さんも気軽にHootersで素晴らしい休日を満喫してみてほしい!!!!!

 

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※画像は店内に貼られてあるポスター。

 

意訳「酔った勢いで女の子にワンチャンあるかも。と思っても、絶対にないからな!」とのことだ。

私も告白寸前でしたが、節度ある楽しみ方を…。

おっきいグミを、食べたい!

こんにちは。しゅどんどんです。

 

 

 

 

グミっておいしいですよね。

僕はグミが大好きで、最近ふつふつと、ある感情が湧いてきました。

「でっかいグミを腹いっぱい食べたい」と…。

今日はその感情が爆発したので、でっかいグミを自作します。

 

 

材料

 

 

材料を買ってきました。

主にゼラチンとポカリです。

グミを成形する入れ物は駐車場とかにある三角コーンにしました。

 

この前、社用車でパイロンを踏み潰してしまい、始末書を書かされたのでその復讐です。

復讐というか、逆恨みです。

 

作り方は基本的にゼラチンを溶かして冷やすだけとのこと。お手軽~!

 

 

作る

 

 

ポカリを火にかけ、ゼラチンを全量鍋にぶち込みます。

「自分は何を作っているんだ?」と、混乱して楽しくなってきます。

 

 

 

 

赤いパイロン型グミにしたかったため、いちご味のゼラチンもぶち込んだのですが、非常にケミカルな色と匂いがキッチンに充満しています。

魔女ってこんな気持ちで劇薬を作っているのかな。

 

 

 

 

固定した三角コーンに粗熱をとったゼリーのもとを流しこみます。

 

 

 

 

冷蔵庫で冷やします。

冷蔵庫のほとんどの体積をもってかれました。生肉は犠牲となりました。

自分の手先が不器用すぎて、固定するためのガムテープが異様な雰囲気を醸し出しています。

 

ともあれ、あとは放置すればグミが完成するはずです!

 

 

翌日

 

念のため丸1日冷やしました。

はたして固まっているのか…?

 

 

 

 

このグミを乗せる皿がなかったため、机をラッピングしました。

机も屈辱でしょうね。

 

 

 

 

ドキドキ…。

 

 

 

 

オラッ

 

 

 

 

おお…?

 

 

 

 

おおっ…??

 

 

 

 

あああああああああああああああああああああああ。

 

 

 

 

 

なんだこれ。

ていうか、ゼリーだ、これ。

ゼラチンの分量を、誤った…。

 

 

 

 

 

くさっ。

 

 

 

 

拝啓、母上様

元気でやっていますか。

わたしは、社会人生活も慣れ始めて、三角コーンでゼリーを作ったりしています。

わたしは、故郷を離れて、なにをしているのでしょうか?

故郷に帰ったら、母さんの作ったから揚げが、食べたいなぁ…。

 

 

 

※崩壊したグミの出来損ないは冷凍して食べきりました。

灯台下暗しレビュー:ミックスジュース

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美味しい度:☆☆☆☆☆

健康的っぽさ:☆☆☆☆☆

口の中で何が起こっているかわからん度:☆☆☆☆

レビュー

 

まず、おいしい。

どう考えても、おいしい。

 

果物を使っているんだからおいしいに決まっている。

それもりんごジュースやオレンジジュースをはるかに上回る種類を…。

 

どういうことだ?

だれが考えた?

富裕層?

 

…米兵か?

 

米兵だ。たぶん、そう。

 

こんなハイカラなものが日本にあっていいわけがない。

だって、おいしすぎる。

 

そして、なんなんだ。

この色合い。

 

パレットに様々な色を混ぜたらたいがい、黒とか、茶色になるはずなのに。

こんな可愛らしい色合いに落ち着くかね?魔法か?

この色合いには、なんらかの陰謀が隠されているに違いない。

 

あと、口の中の情報が多すぎる。

頭よくなっちゃうじゃん。

こんなに情報を得ちゃったら

頭よくなっちゃうじゃん。

 

様々なフルーツの情報をインプットしちゃうじゃん。

そんでもって、アウトプットしちゃうじゃん。

 

人類はそれを繰り返すことで繁栄してきてるわけじゃん。

 

インプット&アウトプット・ドリンク

 

人類を繁栄させてきてくれて、ありがとう…。

キョロちゃんと会いました。

夢を見ていた。

 

昨日は、10時間寝てた。

その10時間のうちのほんの少しの時間だったが、バーでキョロちゃんと会った。

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キョロちゃんは初対面の僕にも、気さくに話しかけてきてくれた、

すごいコミュ力だ。

 

キョロちゃんは様々な話をしてくれた。

 

キョロちゃんは宇宙人であること

キョロちゃんが生まれた星では、チョコレートに関しての技術力が高いこと。

その技術力が買われ、森永製菓と明治の中途採用に受かり、福利厚生を鑑みて森永製菓を選んだこと。

現在、森永製菓では、企画部長を任されていること。

 

 

ハイボールを片手に語るキョロちゃんは、とても大人びて見えた。

 

「ピーナツの化け物も、こんな風に将来を考えるときがあるんだな」

ぼくはそう思った。

 

企画部長として、新人の教育に辟易をしているキョロちゃんは、カリラをロックで頼んでいた。

 

おつまみは、アーモンドチョコだった。

 

「明治じゃん。」

 

そう思ったけど、言えなかった。

 

彼のことを、森永製菓のキャラクターとしてではなく、一人の男性として見ている自分に驚いた。

 

 

 

 

朝五時に

目が覚めたとき

私の寝床の横には、安いウイスキーと、明治の板チョコが置いてあった。

昨日、寝る前に食べていたものだ。

 

板チョコを口に含み、冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注ぐ。

板チョコの油分と甘ったるさを、麦茶で流しながら、キョロちゃんのことに思いをはせる。

彼も大変だが、自分も大変なのだ。

時間は朝九時を回っている。

出社時間を30分過ぎている。

 

会社からの着信履歴を見ながら、ゆっくりとシャワーの蛇口をひねる。

 

さあ、1日の始まりだ。

歯医者で前歯サービスされた話

ぼくは歯が全体的にもろい。

 

子供のころ歯医者に行ったとき

「きみ、ぜ~~~んぶ虫歯だね!あっはっは!」と医者に言われた。

何が面白かったのが知らんが、相当なやりがいを感じたのかもしれない。

 

 なにも誇れるものがない人生だったけど、虫歯に関してだけは誰にも負けない自信と、実績がある。

 

そんなぼくだ。

 

 

ちなみに、前歯に関しては人生で4回くらい爆散している。

1度目は高校生のころ、せんべいを食べたら爆散した。

2度目は大学生のころ、焼き芋を食べていて、気づいたら焼き芋の中に欠けた前歯が埋もれていた。

3度目は彼女と旅行に行ったとき、ホタテに齧り付いたら爆散した。(ここらへんから、家族から危険ドラッグをしているのではないかと怪しまれている。)

4度目は先週、コンビニで買ったポテトに齧り付いたら爆散した。

 

 

だんだん、前歯が弱体化している。

 

神経が、死んでいるからだ。

 

先週のポテトで死んだ前歯を直しに歯医者に行った。

日曜だったため、行きつけの歯医者は空いていなかった

しかたなく近所の老舗の歯医者へ出向くことになった。

 

空間の7割を占めるキッズスペースと、名探偵コナンミスター味っ子を全巻揃えた本棚が我が物顔で鎮座する窮屈な待合室で、問診票を書きながらその時を待つ。

 

名前を呼ばれ、処置室へ向かう。

この瞬間はいつも緊張する。特に、初診だと。

 

長年の歯医者生活でわかるのだが

初診の場合、必ず見るべき場所がある。

設備は整っているか(たまに口をゆすぐ水が冷水しか出ないイカれた歯医者がある。)

今日使う道具は何か(麻酔が置いてある場合、長期戦を覚悟する。)

そして、どの席へ案内されるかが重要だ。

 

どの席へ・・・なんてどこでもいっしょだろと思うだろう。

まあ、普通はそうなんだけど。

 

だが、僕のような虫歯界の風雲児になると、虫歯がひどすぎてほっぺの骨が溶けてしまい、VIP席に通されてしまうことがある。

 

VIP席は、通常の処置する席と違ってドアのある部屋へ通される。

そこには無数のドリルがある。

 

一個のドリルで事足りるんじゃないか?と今も疑問に思っているが、それはもう凄まじい量のドリルがあるし、普通にメスを口と関係ないところに入れられる。

あんな思いはもう、したくない。

 

まあ、今回は初診だし、一般席へ通された。

 

ちょうどよく熟れかけた歯科衛生士の女性に歯垢のクリーニングと称した、歯茎を尖った棒でチクチクされるだけの時間を耐えると、主治医がきた。

 

おじいちゃんだった。

 

まごうことなき、おじいちゃんだった。

 

8割がた何を言っているかわからなかった。

一抹の不安がよぎるが、我々のような歯を疎かにする社会不適合者は、何を言っているかわからない人に、口の中を蹂躙されるしかないのだ。

 

僕と医師のインフォームドコンセントは、互いの気持ちと裏腹にすれ違っていく。

 

 

幸いにも爆散した前歯は、かろうじてなんかしらの樹脂を充填するだけで良いレベルだった。

ほっとした。

 

ちょっと前歯をゴリゴリ削って、熟された女性に前歯へ樹脂を塗られていく。

処置は無事に終わった。

 

シュガースポットで覆いつくされた女性がぼくに一言。

 

「前歯、多めに盛ったんで。」

 

はにかみながら、そういわれた。

 

そんな、定食屋感覚で…。

白米と同じテンションで前歯を盛られたことは、長い歯医者生活でも初めてだったので、面食らった。

僕が学生に見えたからだろうか?

「お金ないだろうから、たらふく樹脂を持ってあげようかしらね。」

そんな粋な計らいを、見せてくれたのだろうか。

 

 

旬を過ぎた女性は、ニッコリと笑っている。

 

 

ああ、サービスなのか…。

 

腑には落ちなかったが、好意なら、いいだろう。

 

会計と、次の診察日を済ませ、歯医者を後にした。

 

 

8月を終えたばっかりだというのに、空はずっと高く、すじ雲が放射線状に走っていた。

秋を追いかける木枯らしが自転車を漕ぐ僕の顔に吹き付ける。

 

神経を失ったはずの僕の前歯が、ほんの少し疼いたような気がした。