私は小学生のとき、とにかくイケていなかった。
顔の半分ほどあるメガネ、膝丈まである靴下、螺髪に迫るほどの激しい天然パーマ。
外見がすべて終わっていた。
昔のドラマに出てくるオタクそのものだった。
しかし、小学生の時、奇跡的にいじめられなかった。
なぜかというと、私はとにかくエロかった。
小学2年生から小学6年生の性にデリケートな時期に
私は隠すこともできないエロスを持ち合わせていた。
私は、地元でもっとも下品な父親のもとに生まれた。
幼稚園のころ、父に「おっぱいが大きな女性がいたら、俺に教えろ。」と勅命を受け、大きなおっぱいを持つ女性の存在を教えると「よし、よくやった。お前は最高の息子だ…。しばし眺めよう。」とおほめにあずかっていた。
そんな経験もあり私の中では「エロス=褒められるべき事」と、当時の小学生の間で常識であった「エロス=悪」という図式と真逆の価値観を持っていた。
モンスタースケベ小学生だった。
小学2年生から地元のブックオフでエロ漫画を立ち読みするなど、私の性は唯我独尊、我が道を突っ走っていた。
なので、当時から「あいつってエロらしいよ。」と陰口を言われているにも関わらず、あまりにも堂々とスケベな私の立ち姿から、小学生の繊細な性の悩みをこっそり相談されるような立場であった。
しかし、小学4年生の秋、スケベ王の私を揺るがす存在が現れた。
隣町から越してきた、亀山だ。
亀山は小学生とは思えないほどのスケベフェイスを持っていた。
「ついでにとんちんかん」という漫画に出てくるぬけさく先生にそっくりだった。
←こいつ。
いまでいう、まりもっこりとか、それに似た顔をしていた。
モザイクをかけられても文句が言えないほどのスケベフェイスだった。
最初は敵視していたものの、秋の運動会の日、木陰で彼の性遍歴を聞き、盟友となった。
そこに「蒼井そらのAVで手を使わずに射精した男」の異名を持つ木辺くんという男も参戦し、ぼくたちは小学4年生にして「南小のドスケベ三銃士」と呼ばれる存在となった。
ぼくら3人は放課後となるとブレーンである私が様々な市区町村の資源ごみの日や、エロ本が落ちている確率が高い河川敷を割り出し、行動力のある亀山がわが身と自転車のみでエロ本を探し出し、隠密能力の高い木辺くんが最適な隠し場所へエロ本を隠すといった協力ハントを繰り返していた。
隠密機動隊の木辺くんが割り当てた「家電量販店の外階段の下」はそのまま我々のアジトとなり、大量のエロ本が保管された宝物庫となった。
この宝物庫は、我々3人の男子内カーストを確立させ、我々は南小の王となった。
地区内の小学生へエロ本の貸し出しを行う独占企業となった。
凄まじい優越感だった。
その後中学に上がり、ほどなくして3人とも無事にイジメられた。