詩人会にいった
ぼくは、ポエムが好きだ。
自分が不器用なため、そのときの気持ちをポエムに綴る。
たとえば、こんな感じ。
『きみはアマゾネス』 作詞・シュウト
おしゃれな君はアマゾネス。
ラルフローレンのロゴが入ったバナナの葉っぱ
おしゃれな君はアマゾネス
Instagramで狩りの様子をつぶやいて…
ああ、君はアマゾネス
生肉かみちぎる姿に、見とれちまうよ。
ねえ、アマゾネス
ヤドクガエルの毒から作った毒矢で
僕の心臓を射抜いてごらん
ねえ、アマゾネス
裸足で駆けてく、靴を知らぬ女性・・・
このころのぼくがどんな心情だったかはわからないが、とにもかくにもポエムが好きということが伝わってくれたと思う。
そんなわけで宮城県詩人会に来た。
自分のポエム力を試し、よりよいポエムを作るために。
この日、宮城県詩人会では「ポエトリーカフェ」という催し物をやっていた。
珈琲を飲みながら、ポエムについて語り合う。
中世の貴婦人の休日みたいな会だ。ワクワクするぜ…
なんやかんやで会場についたので、扉を開ける。
「あら~~こんにちわぁ~~!」
そこには大林素子を凝縮したような女性がたっていた。背の低い大林素子、それはもはや大林素子に似てるといえないような気もするけど、顔は大林素子に似ていた。
「名前書いて、座っていてください~!」
テンションの高い大林素子にいざなわれ、名前を書く。
参加費は500円だった。安い。
参加者は15人くらいいた
座ろうと思った席をちらりと見る。
そこには初老初老初老・・
いや、初老どころの騒ぎでない男性たちがひしめき合っていた。
人生の喜びを他者に見出すレベルの老齢な男性たちだ。
それぞれが違う方向を見ている。
あと主催の人たちも更年期になれ始めたくらいの年齢の女性たちだった。
なかなかの、濃いメンツ
不安がよぎる
ポエムの集まりではなく、田舎によくある暇な老齢’Sが集まる会なのではないか?
こわい・・・。
ポエムについて語り合うヨーロッパな午後を夢みていた僕は目の前が真っ暗になりかけた。すると、隣の男性が話しかけてくれた。
彼は30代くらいらしい。よかった。
彼はいろんなことを教えてくれた
ここはおじいさんばかりだが、みんなその道のプロであること
自分はシンガーソングライターらしいが、今は何もしていないということ(じゃあそれはニートなのでは?)
ここに出てくるお菓子はとてもおいしい・・・ということ。
たしかに、お菓子はおいしかった。
500円の会で珈琲とお菓子が出るなんて、うれしい。
だが、チーズおかきやチータラなど、おじさん向けのお菓子が多いのは、年齢層を鑑みてだろうか。
そんなこんなで会は始まった。
大林素子が取り仕切る。
「今日は、言葉と音の違いについてです」
?
なにいってんだ。
「声は喉から出るもの。言葉というのは伝わらなきゃ意味がないのですか・・?」
「そこなんですよねぇ・・・。しかし詩人は誰かに伝えたくて書いているとは、必ずしも言えない・・・」
「人は考えているときは頭の中でひとりごとをしているんです・・・。それは文字ではなく声なのですよ・・・」
なにいってるんです?
基本大林素子がしゃべり、それにたいして初老の男性が反論するという構図が続いているが、内容が全く入ってこない。
詩人ってここまで難しい職業なのね。
でもレベルが高いのはわかった。これには僕も参加しないと・・・
ぼく「ちょっといいですか?」
勇気を振り絞って声を出した
ぼく「詩人の方って寂しがり屋さんだと思うんです。だから、自分の思いを叫んで、自分の声を形にしないと、自分が保てないんじゃないですか、ね・・・」
キマった・・・!
「うん、まあそれはいいんだけどさ・・・。それでね?僕が言いたいのは」
初老の男性にぶった切られた。
僕のふり絞った声は、届かなかった。誰にも。
泣きそうになりながら手元のチータラに手を伸ばそうとする。
ん?視界の隅になんか見える
あ、赤ワインある。
なんで?え?飲むの?
「まあ、お酒でも飲みながら気楽に・・・」
大林素子が赤ワインを開けた。
飲むのかよこの会。すごいな。うれしっ・・・
とくとくとロックグラスにつがれていく赤ワイン。
思いもよらない飲酒チャンス。
だからお菓子、チーズ系多かったのか・・・・!
お酒も入ってみなさんご機嫌だ。
何人か、アル中がいるな。
ご機嫌に大林がなんか言って
初老の男性がぶった切り
ウルトラシニアがナマケモノとどっこいのペースでぼそぼそと意見を述べる。
そのほかの人はじっと聞いて、なんか聞かれたらわりといい意見を述べて
初老の男性が、またぶった切る。
その繰り返しが、意外に心地よかった。
途中トイレに立ち、もどってきたらなにやら騒がしくなっていた。
「ハッ・・・!!ハァ!!君が・・・花である限り・・・つぼみである限り・・・ハァァ・・!!(ドコドコドコドコ←太鼓)」
なにごと?
と思ったら初老の男性が昔ライブパフォーマンスで披露した詩とのことだった
ほとんど太鼓の音しか聞こえない。
ポエムのことは、より一層わからなくなった。
太鼓の音とともに会は終了した・・・。
みんなそれぞれ心の中に大事なポエムがある。そう知れた気がする。
すがすがしい気持ちと結局ポエムってわからんわ。という気持ちが入り混じった微妙な気持ちを携えて
会場の近くのケーキ屋さんへ寄った。
シュークリームがすごくおいしかった。