突然ですが、僕は10歳から18歳まで空手をやっていた。
流派は伏せるが、いわゆる極真系と呼ばれる「素手、素足で人をボッコボコにする系」の空手だった。
実際に流派の大会ではグローブなどの類はつけない、今時珍しいタイプだ。
道場では僕が入ったときには20人以上同期がいたが、高校にあがるころには僕以外誰もいなくなり、高校生の僕、現役で軽量級6連覇中の師範、重量級チャンピオン、重量級チャンピオンの4人が主なメンバーであった。シンプルに地獄だ。
さて、道場での稽古の内容は割愛する。
内容はごく普通のメニューだったが上記したようなメンツなので、僕はもう完全に地獄だった。稽古の次の日の朝、ベッドから降りるときに太ももに激痛が走らなかった朝は辞めるまでついぞ無かった。
ローキックはテレビで見るK-1のような小技な印象ではなく、名の通り必殺技です。K-1ファイターはマジですごい。
さて、僕の師範ですが30代半ばで流派の大会(別名ムキムキの大人が素手と素足でボッコボコ大会)で現役で優勝するような人でした。
漫画みたいな話だが、一回戦であばらの骨が折れてしまったが、そのまま3連続で試合をして全てKOで勝利、優勝をするような男だった。
拳はわかりやすく皮がズル剥けており、その上にまた傷ができ、と繰り返した結果めちゃめちゃ肥大してた。常人の拳がアンパンマンの頭とすればクリームパンダの頭くらいボコボコの拳をしてた。
そして竹刀を稽古中持ち歩いてて、事あるごとに僕の尻をしたたかに打ちのめしていた。こんなことあるか?平成生まれなのに。
だが何よりもすごいのは神通力だった。
師範は僕が少しでも「はやく帰ってアメトークをみてグッスリ寝たい…。」
などと考えていたら
「オイ、帰ってアメトークをみてグッスリ寝たいと考えているだろ?」
とピタリと当ててくる。
ウソをついているみたいだが、本当に当ててくる。
僕が失恋した時も、親や友達は気づかなかったが、師範だけは当てた。
失恋がバレたときは「このミットをその女だと思って思いっきり殴れェェェ!!!!!」と、独特な慰め方をしてもらった。
そんな師範だが、最近道場のホームページを作ったらしい。
覗いてみるとなんと道場の紹介だけでなく、師範のブログがあった。
そしてその内容が、めっっっっちゃくちゃ面白かった。
空手を知らない人が見ても確実に笑える内容だった。こんなブログより数百倍面白かった。
空手を辞めて長いが、腕っぷしだけでなく、文才でも完敗していた。
僕は一生師範に勝つことはできないのだろうか。