ぼくの仕事は営業である。
細かい業務内容は割愛するが、簡単に言うと偉い人やそうでない人に会いに行き、どんな人であっても「へへぇ。」とえびす顔で首を垂れるのが主な業務だ。
「へへぇ。」ニコォ
「へへぇ。」ニコォ
とおきあがりこぼしの様に頭の位置を高くしたり低くしたりするのだ。
基本的に楽な仕事ではあると思う。あんまり考えたりしないし。
しかし、あんまり考えないでいると脳みその稼働率が下がり、だんだんと頭が空っぽになってきているように感じるのも事実だ。
そして頭が空っぽになっているところに「お客様」という名の知らないおじさんに怒鳴られたり自信ありげに仕事論を語られたりすると
頭蓋骨の空洞の部分にもやりとしたものが詰め込まれる。
こういったもやりとしたものが頭に入りこんでくるとぼくは寄生虫に操られたカマキリよろしく水辺に立ち寄ってしまう悪癖があるのだ。
こう言っていると入水自殺のように思われるかもしれないのできちんと弁明しておくとかなりポジティブに水辺に向かっている。
海やら湖に到着し魚がちゃぽんと水面をはねる姿を見て「ウヒョッ」と興奮するのだ。
ぼくは子供のころから水辺が好きだった為か、水辺に住む生物や変な形の石、中州に置かれた空き缶などを眺めるとたちまち興奮してしまうたちなのだ。
今日も水辺に行った。
水辺に行って平たい石を5個選抜し、水切りを5回行う。
「一番石が水面を跳ねた数×100円分、直売所で買い物していい」という自分ルールを設けて遊んでいた。
「ダッシャァー!」とスーツ姿で思いっきり石を湖へぶん投げる成人男性。
それがぼくだ。
こんな大人になるなんて夢にも思わなかった。
4回跳ねたのでめちゃくちゃでかいにんにくを買った。なにこれでかっ。
まあなにが言いたいかというと、仕事をあんまりがんばるとカマキリになっちゃうので頻繁に水辺に行くことをオススメします。