学校のマドンナ探し
中学の時、まあ拗らせてた。
まあ〜〜〜〜拗らせてた。
まあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜コジ。
友達がいない合唱部の天パメガネだった僕はモテなすぎてかなりひん曲がっていた。ひん曲がりすぎて円に近かった。
モテない中学男子の欲情は、禍々しいまでに歪な形に成長を遂げていた。それでもなんとかマグマのように煮えたぎる欲望をハミングに変えて無難な合唱部のメガネ天パな日々を送れていた。
しかし、そんなある日、学校のマドンナに正式にフラれた。ダメ元で告白して、ちゃんとフラれた。
その瞬間に歪な欲望を抱えた僕の脳が高速回転し、一つの仮説を生み出した。
「もしかして、一つの中学につき、一人学校のマドンナがいるのか…?」
その日から僕の放課後は隣町の中学周辺をウロウロする時間になった。
知らない町、知らない校舎、知らない野球部の声は僕をパラレルワールドにひきづり込んだようで、興奮させた。
「この校舎の中に、まだ見ぬマドンナがいるのか…。」
僕は目を皿にしてマドンナを探した。
でも声をかける勇気もなければ校舎に押し入ることもできない。
校門の近くで、さも「他校の友達を待ってる奴の雰囲気」を醸し出しながら川底から一粒の砂金を見つけるべく凝視していた。
そんな日々は案外長く続いた。
しかし、マドンナは見つからなかった。
それもそうだ。
あくまでマドンナは閉鎖空間の中に渦巻く欲望を集めてできた丘の上で咲く一輪の花なのだ。
閉鎖されてない空間においては路傍の石でしかない。
それに幼い自分は気づかなかった。
今か今かとマドンナの出現を待ち望んだ。
しかし、学ランからパーカーを出すスタイルのヤンキーに「誰おまえ?」と言われてしまい、光の速さで家に帰って泣き崩れてしまったあの日から、この奇行は終えた。
今ではあのパーカーヤンキーに感謝している。