私は完全に自分がイケメンだと思っている。
顔が名匠の作った白磁のように整っていると、そう思う。
しかし、モテない。
なのでもっと「女性を口説く」という事を考えていきたいと思った。
いままで私は女性と食事に行ってはニヤニヤして「サイボーグクロちゃん」や「カードキャプターさくら」の思い出話を一人で喋っていただけに思える。
しかし、この世には「口説く」という技があるらしい。
私は「女性を口説いてみたい」と感じた。
それから修業を重ねた。
以下に私が今まで試した口説き方をご紹介する。
①ほめる
褒めるのが良いと聞いたので、私はとにかく女性を褒めていた。
しかし、女性と話すときは緊張しているのもあってか、ボキャブラリーが新生児の爪先ぐらいしかなくなってしまう。
「キレイだね…。」
「クリオネのようだよ…。」
「祖母がクリオネだった?」
「肌の透明感がクリオネのそれ。」
「クリオネって貝類らしいよ。」
「クリオネに近い部活をやっていた?」
「流氷とか好き?」
等、一つのワードで攻め立てるしかなかった。
はい、全然モテませんでした。
このやり方は全然あっていなかった。
②雰囲気づくりをする
続いて私が行っていた口説き方がこれだ。
雰囲気づくりをしていた。
とにかくロフトでアロマキャンドルを買った。
アロマキャンドル以外に雰囲気を作る方法がないからだ。
アロマキャンドルを買ったはいいものの、意中の女性を家まで呼ぶことが出来なかった。
大学卒業までクソほど余ったアロマキャンドルは、実家にまだ置いてある。
この方法は全然意味がなかった。クソが。
③押して押して押してみる
男は押しが大事だ。
とにかくラブホテルのある方向へ女性を少しずつ押してみた。
よいしょ…よいしょ…。
よいしょ…よいしょ…。
女性「なにしてんの?」
私「あ、ごめんなさい。なんでもないです。」
この方法はまったく成功しないし、自分でやってて気分も悪かったのですぐ辞めた。
④口説くのをやめる
口説くのをやめた。
そもそもの話をするが、「口説く」なんておこがましいと思わないだろうか。
男女は対等の関係であるはずなのに、あたかも「口説いてみせた」なんて自分本位の感情をもっていいのだろうか?
男女間はどちらにも優位性なんてあっていいはずがないのに、男性だけが女性に対してアプローチをしているなんて状況は反社会的だ。全く非論理的。
対等の関係である以上、そこは交渉が生ずるべきだ。
なので私は素直にお願いしてみることにした。
「なんとか、おしりを触らせてもらえないだろうか。」
そう真剣な表情で告げる。
真面目に相手の目を見て、私がどれほど相手のおしりを一撫でさせてもらいたいか、真剣に語る。
おしりの為なら私は何ができるか、私がおしり撫でを通してどういった自己実現を目指したいか、おしりを撫でさせていただいた場合の今後の展望、相手がおしりを撫でられた場合のメリットとデメリット、を真剣に伝えた。
結果は、失敗だった。
おかしい。
ここまで対等の立場で交渉を重ねに重ねているというのに、私はおしりをついぞ触ることが出来なかった。
交渉には万全の準備をしてきている。交渉決裂する道理がない。
やはり、私の身長が極端に低いのが、原因かもしれない。
今はとにかく毎日身長を伸ばすストレッチをするしかないのだ。