歯医者に行った。
依然、前歯が爆散した際に虫歯があるから今度来てちょ~と言われたからだ。
今回は若い、男性の歯医者さんが見てくれるようだ。
名は、井上マサシという。
さっそく施術説明が始まった。私はインフォームドコンセントが大好き。
八重歯に小さい虫歯が出来ているようだ。
井上先生「今回は麻酔無しで大丈夫ですか?」
愚問だ。
麻酔があると医療費は高くなってしまう。
虫歯歴20年の私を舐めるなよ、若造。
ちいさな虫歯などヘッチャラピーであり、もちろん、麻酔など必要ないのだ。
そうして麻酔無しで、施術が始まった。
キュィィィィン(ドリルの回転音)
…あー。
うん。
めっっっっちゃ痛い。
え?痛い。え?いったい。うそぉ。
え?なにしてるの?痛い。やめて?
…そう、私は虫歯が多すぎて幼少期にほぼすべての神経を引っこ抜いていた。
今回のようなちゃんと神経がある歯を治療するのは10数年ぶりだったのだ。
神経がちゃんとある歯の治療は激痛なのだ。痛い。
冷静に分析している場合じゃない。あー、もう。痛い。
濃硫酸でうがいしてるみたいだ。
先生?もしかして岩とか掘るドリル使ってる??
目を開けたら、先生がこれになってたりしない?
そう考えているうちに、ドリルが止まった。
やった!解放された…?
キュィィィィン
無言でまた、始まった。
なんで一回止めた。おい、井上。井上マサシ。
趣味として歯を削っているんじゃなかろうな。ドS野郎。
本当に痛かったけど
「麻酔すると高い…。麻酔すると治療費高い…。」
と考えることでどうにか気絶せずに済んだ。
頭の中で諭吉の肩をガッチリホールドする妄想をしていた。
…
「はい、この歯はこれで完治しました!」
井上先生がそう言った。なんとか治療を終えたようだ。
本当につらかった。
こんな思いは二度としたくない。今後はちゃんと歯磨きもするし歯間ブラシもしよう…。
そう思いながら、治療室を出ようとすると声をかけられた。
井上「違う虫歯もあるから、また来週やりましょうね。」
殺してください。