しゅどんどんずんどこブログ

書いちゃうよ~!

エクストリーム・ここでキスして。

 

大概の所でキスしてきたつもりだ。

 

「ここでキスして。」

 

こう言われて、断れるほどの胆力を持っている男はいないだろう。

いや、むしろこういわれてキスしない男はあまりに男気がないような気がする。

 

キスを求められることは

一種、オスとしての力を認められているような気分になれる。

 

だからこそ、キスをする。

 

 

僕は、キスをしてきた方だ。

路上、公園、防波堤。

車の中や、証明写真機のカーテンの中。

 

あらゆるところでキスをしてきた。

「ここでキスして。」に関しては負け知らずだ。

 

究極の「ここでキスして。」はどんなものだろうか

 

生命の危機があるところ?

ライオンに追われているとき?それとも、銀行強盗に人質に取られ、縛られているとき?

 

いや、そんな時こそ、キスをするだろう。

男気が発揮できる絶好のチャンスじゃないか。無我夢中でキッスをするはず。

 

じゃあ、なにがエクストリーム・ここでキスして。足りえるのだろうか

 

答えは簡単。

実の祖母の前だ。

 

彼女と祖父母にあいさつに行く

「彼女とは大学のサークルで知り合って…」ともたもた話をする

おばあちゃんは「ああ、優しそうな方ねぇ、ふ菓子をどうぞ」とふ菓子を戸棚から持ち出すだろう。

彼女は「ええ、いただきます。ありがとうございます。」

とにっこりと微笑み、ふ菓子を口に運ぶ。

ふ菓子を咀嚼したのちに、彼女からひとこと

 

「ここで、キスして。」

 

なんということだ

平穏なひと時がこの一言でぶち壊れてしまった。

 

シルバニアファミリーラブドールが一体混じっているかのような、混沌とした世界。隠しきれない違和感。

 

おじいちゃんはよそよそしげに入れ歯を外すだろう。

おばあちゃんは孫のキッスを見るチャンスが思いもよらず到来し、老眼鏡を手に取る。

 

孫としての自分は、果たしてキスできるだろうか。

孫という殻を破り去り、狼になりきれるだろうか。

 

なんて恐ろしいんだ。

あまりに恐ろしすぎる。

 

だけど、僕はキスをするだろう。

なぜかって?

 

 

 

そりゃ、変態だからね。