僕は根っからのコーラ狂いで、炭酸狂いだ
ひとり暮らしながらも常に冷蔵庫にコーラの1.5リットルペットボトルを常備している。
学生時代には安いからという理由で爆弾みたいな形の2リットルボトルのコーラを週3で買っていて、スーパーの店員さんを恐怖のどん底に突き落とした。
2リットルのコーラ単騎で会計をしていたので、たぶん、週1回くらいは「レジに爆弾を置かれた!?」と思っていたのだろう。店員さんには悪いことをしていたなぁ。
そんなぼくが許せない炭酸飲料がある。
カルピスソーダだ。
彼は、ずるい。
なぜなら、うまい。
後味があっさりとしていながら、ほしかった喉の刺激を満たし、それでいてコーラに比べてちょっと身体にいいような気もする。
いいとこどりしすぎではないだろうか?
僕はコーラ、ならびに炭酸飲料には「武骨な荒くれもの」のイメージがあった。
樽のジョッキを片手に「飲みてぇ奴は健康と引き換えに飲めよ!うめえことぐらい、てめえの舌で確かめてみろよ小僧。」と語りかけてきそうな真っ黒な液体の存在感。
氷のたっぷり入ったグラスに注いだ時に沸き立つ茶色い泡。
活火山の火口のように小爆発を起こし、荒れ狂う炭酸たち。
耳に心地よい「シュワァァァ」という火のついた導火線のような音
すべてが荒々しく、かっこいい・・・。
その炭酸飲料の男らしさに、ぼくは惚れている。
深夜にキンキンに冷えたコーラを口にするとき「ああ、自分はなんて悪いことをしているのだろう・・・。」と自分の大胆さにに浸れるのだった。
しかし、カルピスソーダ、彼は何なんだ?
白い。白すぎる。
体操のお兄さんのようなさわやかさ、舌を愛撫するかのような優しい泡。
まるで武骨さが感じられない。
女性の扱いにたけている20代後半の白シャツの男性を想起させる・・・。
「疲れてるの?そういうときもあるよね。ちょっとピリッとするけど、僕のこと飲んでみる?すこしは君の疲れを、癒せると思うんだ・・・。」
スマート。スマートすぎるのだ。
こういう男はここぞというときにすぐに髪を触ってくる。
さわやかさのなかにほんの少しのいやらしさを感じてしまうよ。
極めつけは炭酸だ。
コーラは炭酸がなくなれば、そこで終わりだ。
2リットルペットボトルを買っていたが、開栓するたびに弱っていくコーラを見るたびに涙が出そうになる。
「コーラ、お前、どうしたんだ・・・?あんなにパツンパツンにペットボトルを突っ張らせていたのに・・・ヘコヘコじゃないか。。」
でもコーラはニッと笑うだけで何も答えない。
自分が炭酸がなくなってしまうことで、自分でなくなってしまうことを悟っているのだ。
コーラ、なんて格好いいんだ。
それに比べてカルピスソーダ!
彼は炭酸がなくなったら
未練がましく【カルピス】になりやがる!!!
炭酸が抜けてもなお、愛されたいという自己愛が強すぎる。
50代の男性が、ムダ毛処理をしたり、長髪にして茶髪にするような未練がましさ、女々しさを感じる。
やはり、彼は卑怯な男だ。
カルピスソーダ・・・。
でもカルピスソーダは、淘汰するには、あまりにも美味い。美味すぎる。
でも、それでは、コーラが・・・。
コーラが、不憫でならないよ・・・。