今日はBEAMSに行った。
土日にあまりにもやることがないために、わざわざ一杯のコーヒーを飲みに仙台駅前まで足を運んだ帰りにふと思いついた。
「そうだ、服のお店に行ってみよう・・・。」
ながらく服を売っているお店には足が向かなかった。
お金がなく安いお店(しまむら)で服を買って、家に帰って、試着をし、鏡に映る中学2年生のヤンキーを見るたびに悲しい思いが募るからだった。
しかし今は社会人。そう、ほんのすこしだけど金がある・・・。
「きっと今なら王様のブランチにも出れるような服を買える・・・。」
鏡の中の英文字がたくさん書かれた服を着て涙を流す自分と決別するため、ぼくはBEAMSに入店したのだった。
入店時から圧はすごかった・・・。
なんだ?視線を感じる・・・。
・・・!
こいつだ・・・。
このマネキンはなぜ怒っているんだ?精一杯のおしゃれをしているのに、密閉された空間に入れられたからだろうか?そりゃ、怒る。
「こちとらジャケット着てんのに外出もできないのかい?ええ?」とでも言いたげな顔だ。
それをぼくに言われても、困る。
なるほど、入店時からの凄まじい圧は彼の怒りが由来だったのか。
しかしそう納得してからもやはり、圧は変わらない・・・。
・・・・・・店員の目が、怖い。
ハッとした。
ぼくの今着てる服は、BEAMSに合っているのか・・・?
BEAMSの空間に調和している服装をちゃんとできているのか?
年上のいとこからもらったリアルなゾウさんが刺繍されているニットセーターは、果たして、BEAMSに入店する資格はあったのだろうか?
BEAMSの店員をちらり、、、
やっぱりそうだ。
やはり、BEAMSの店員は・・・短パンをはいている・・・。
膝小僧が出る短さの短パンに、上は麻のジャケット、短髪にごつい黒縁メガネ。
本当にその恰好は、オシャレなのかい?BEAMSの店員さん・・・。
そしてぼくが今、手に持っている【虎】という文字とトラのワッペンが胸にきらめくスカジャン(¥29,800)は本当なのかい?
オシャレなのかというか以前に、BEAMSにおいてあるものとして、本当なのかい?
トラのワッペンがついたスカジャンが売っているお店が、BEAMSなのかい?
店員さんは視線を逸らすばかりだ
それが僕のちょいダサファッション由来なのか、トラのスカジャンを販売してしまっていることに対する負い目なのか、わからない・・・!
BEAMSの店員さん、ねえ、答えてよ・・・。
すね毛に覆われた膝小僧をこっちに向けてよ・・・。
そのやたらレンズがきらめく黒縁メガネで俺のことも見てよ・・・・。
ねえ、BEAMS・・・こっち向いて・・・。